ヴォイス〜命なき者の声〜

「旦那さんは恐らく、奥さんとの思い出の映画であるクレイマー・クレイマーを見ようとして、なんやかんやで感電してしまった。そして映画に出てきたフレンチトーストを作ろうと思い立ち、牛乳にパンを浸したところで卵がないことに気づき、買い物に出かけてそこで不整脈を起こして亡くなった……奥さんをとても愛していたんでしょう」
「あの、なんやかんやって何でしょうか」
「なんやかんやはなんやかんやです!」


やばいな、この形式にすると何でも面白く感じてしまう。


とりあえずタイトルに「命なき者の声」ってあるのに、瑛太は命ある者の声しか聞いてないのはどういうわけだ。
「生きてる人間は嘘をつく」って鈴木京香があんなに言ってたのに。
瑛太がうっかり犯人に話を聞きに行って、口封じされそうになる回がこの先あるんだよな?
ていうかあいつあんまり金持ちっぽく見えないんだけど、毎回自腹で事件現場に通うの、苦しくね?
医学生ってもっと忙しいだろ。
ゼミ以外にも実習あるだろ。
文系ですら教員免許取ろうと思ったら遊ぶヒマ全然なかったぞ。


ていうか医者って命ある患者の話、あんまり聞かないよな。
アトピー治療のために通っている医者が、県を越えて患者が来るほどの名医なのだが、全然会話が成立しない。
ものっそい早口でものっそい聞き取りにくい声で、これを利用した叙述トリックをいつか書いてやりたいと思う。
おかげで身の上話はおろか世間話すらしたことがないのだが、何も喋っていないのに、徹夜明けに行くと必ずバレる。


「とりあえず、寝なさい」


と問答無用で無理くり2週間分の睡眠薬を出してくる。
これをやられるたび、「貴方、アフガニスタンに行っていましたね?」と言われたような気分になる。
犯罪してなくてもこんなにビビるんだから探偵ってマジで怖えな。


この名医の待合、乳幼児を連れた主婦のサロンと化していて、熱心に情報交換する子連れのマダム以外には憔悴しきった顔の大人しかいない。
初診のときにステロイド使用歴を聞かれるのだが、アトピーとの戦いよりステロイドに嫌気が差した人が安息の地を求めてここに来るらしい。
ここの患者に島田荘司氏の某作品とか米澤穂信氏の「犬はどこだ」とか読ませたら狂乱するんじゃないだろうか。


何か気づいたらドラマの話全然関係なくなってるが、ちゃんと患者の身体見ようよ瑛太
尺骨とか言ってた分1話の方が法医学だった。