きみがいた時間 ぼくのいく時間

正確にはドラマじゃないけど。
キャラメル・ボックスの舞台。主演は上川隆也
梶尾真治のSF小説『クロノス・ジョウンター』シリーズの外伝らしい。
「時間螺旋説」に基づき、38年周期でしかタイムスリップできないタイムマシン“クロノス・スパイラル”を使って、妊娠中に事故死した妻を助けに行く話。
“クロノス・ジョウンター”は別部署で開発されているという設定で、誰かが使ったらしいという話がちらっとだけ出てくる。


前半はコメディ全開のラブラブバカップル話、後半は妻を助けるためだけに生き続ける男の38年間。
38年もあるので上川隆也大河ドラマなんか目じゃないくらい歳喰っていくのだが、ヒゲ生えたり白髪ヅラとか特殊メイクとか全然ナシで、鈍っていく動作と声をどんどん低くしていくだけで加齢を表現していた。
流石アンチスパイラルだ。
もう1回くらい何かのアニメに出てほしいな。
宮崎駿、プロ声優が嫌いなら上川隆也を使えばいいのに。


SF的には甘いところがあるけど
上川隆也が同じ時代に2人存在しちゃって顔を合わせないまでもかなりぎりぎりまで近づいてたり、タイムパラドックスをどーこー言うのは無粋だとしても、タイムスリップ実験で38年前に転送したカボチャをどーやって現代で確認するんだ。
文字を刻んだ石や金属のプレートとかにしておけばいいのに)
人間ドラマとしては十分泣けた。


……ちなみにこれ、BS2で土曜深夜にやってたもの。
この枠、共通点は「舞台演劇」ってだけで蜷川ハムレットとか三島由紀夫とか向田邦子とかハードなのも多いのだが、ときどきこういう現代劇をやるので見逃せない。
大竹しのぶの『売り言葉』*1なんか怖すぎた。
智恵子抄』があんなに怖い話だとは思わなかった。
怖いといえば野田秀樹が女装でイギリスの舞台に立ってた『BEE』もかなり怖かったが(違う意味で)


この枠でかなり前に『サマータイムマシン・ブルース』やってました。
これもタイムスリップネタだったが、出てくる人間が全員リアルなバカ大学生という設定のせいか見事なほど見た後に何にも残らないコメディっぷりが素晴らしかった。
コメディは教訓とか説教とか人情とか深いテーマとか、心に残るものがない方がいいと思うんだ。
ていうか、教訓をつけない純粋な笑いだけのコメディって難しい。

*1:作・演出・野田秀樹