6月15日神戸どうぶつ王国
姉「限界だ。神戸どうぶつ王国で貴重なマヌルネコを見ないとどうなるかわからない」
などと姉が供述し始めるようになったので、行くことになった。
俺「土日に行きたくはない。普通、こういう施設は月曜休みなのになぜか月曜開いてる。君バイト月曜休みやろ。密を避けるためにも月曜にしよう」
えっちらおっちら車で神戸の埋立地を目指す。
俺「昼飯どうする?」
姉「ここから6分のところに神戸のシャレオツ洋食屋が」
俺「無理言うな、俺じゃなくてカーナビに言ってくれ! 6分とかもう通りすぎる! このカーナビは車が動いているとき操作できない高性能仕様なんだ、カーナビの行き先を変更するために駐車する必要がある!」
姉「じゃもうIKEAでいいよ。北摂に住んでいたらなかなか行けなくて縁がないIKEA。目的地から5分。他に売ってるものも見たいし」
俺「神戸どうぶつ王国が4時閉園だから2時までに昼飯食って脱出する計算だぞ!」
それでIKEAを目指したら、うっかり隣というだけで何も関係ない高級マンションの駐車場に入り込んでしまう。
出ようとしたら出口のチェーンが自動で上がるハイテク仕様。
俺「待って!? 悪いやつを閉じ込めても問題の解決にならなくない!? 出ていくときに出ていくなって言っても無駄じゃない!? 何この駐車場!?」
姉「わ、私らは通りすがりの道に迷った人だ、どんくさいだけで悪人ではない。管理人さんに説明して開けてもらい……管理人室が昼休みで誰もいない!」
俺「出口にインターホンあるかと思ったがカードスロットしかない、マジで俺たちを閉じ込めて何の得があるんだ!?」
大騒ぎの挙げ句、隣のモデルハウスの不動産屋さんがカードキーを持っていたので開けてもらった。
このマンション、専用の配達人じゃないと車も駐められないらしい……
ウーバーイーツとか頼んでも来れないじゃん……
その後、隣のIKEAの駐車場が無料と知り「あの駐車場システム、何の役に立ってるんだ」としみじみ不審に思う。
俺「IKEAというとスウェーデンか。スウェーデン料理て何? ザリガニ? グラタン? グラタンはムーミンでフィンランド?」
姉「ミートボールらしい」
そしてこれがIKEAのミートボールだ。
肉にジャムが添えてあるの慣れん。
雑穀のサラダいらんかった。
何ならこのチョコケーキだけで基礎代謝分あった。
俺「この店、何がどこにあるか全くわからん……ほしいものがあったとしてどうやって探せばいいんだ」
姉「でもアイロン台とヤカンはシャレオツだった」
俺「イオンとコーナン(※関西のホームセンター)に慣れた人種にはハードルが高い」
姉「でもフードコートの客のテンション、人口密度低いだけでイオンとさほど変わらん」
俺「てかフードコートで提供する水、堂々と水道水なんだな……」
気を取り直して神戸どうぶつ王国へ。
俺「駐車料金1日500円、強気やな。岐阜公園は350円だったぞ」
マヌルネコはわりと前の方にいる。
温室は丁度蓮が見頃。
ここは元々神戸花鳥園だったのを居抜きでどうぶつ王国になったわけだが、花鳥園のときと同じように鷹匠ショーやってんじゃん、と思った。
アルパカのあかちゃん。
鳥は温室内に適当にいる。
適当な奥にハシビロコウもいるのでビビる。
いやよく見たら柵あるんだけど。
砂漠の天使スナネコ。
天使極まりなく皆が写真を撮るので結構密。
サーバルもいたけど人が密な上にガラスにメッチャ写り込む。
この密を体験して「IKEAと先週の岐阜大河ドラマ館、全然人おらんかった」と愕然とする俺。
フェネックは熟睡。
ワオキツネザル。
どうも行列に並べば近づけるようだが面倒なのでパス。
ワンチャンネコチャンふれあいコーナーも人間の行列が密。
ウサチャンのみ並ばずふれあえたがまあそんなにふれあいを求めているわけでもないので。
この辺で「マレーバクを見てない」と気づく俺。
俺「パンフにマレーバク書いてあるのに……フェネック書いてない」
姉「すごい入り組んだ奥にいるらしい、マレーバク」
こうして俺たちのマレーバクを探す旅が始まった。
係員さんにも聞いたがメッチャ複雑な構造だった。
道中、カピバラの放し飼いに出会う。
ミナミコアリクイのあかちゃん。
客も危険を伴う。
ぐるっと迂回した一番奥にマレーバク。
酔っぱらいが寝ているような存在感。
俺「……花鳥園のときこんな奥に来た記憶がないのだが、俺はあそこの動物展示を全部見ていなかった可能性が? わからん、何もわからん」
大胆な寝相といえばベンガルトラ。
行きは姿が見えないと思っていたがこんなに見せてくれなくてよかった。
毛皮がつややかだ。