大内裏を歩く

 こちらの「大内裏を歩く」という企画に参加させていただきまして。

 

 もう五位鷺書き終わって来週発売なのに今更大内裏歩いてどうすんだよと思いつつ一応行った方がいいのかなと。
 いや、「平安京を歩く」が気になったんだけど、外周20kmとか間違いなく死ぬので大内裏だけで。

 

 どうやら大学で史学をやっている方の企画らしく。
 ネットのオフ会のお約束、駅前で自己紹介。

 

出席者の皆様「ぼくは某大史学科で」
「わたしは某大史学科」

 

「やべえ。大学で歴史やってないすっぴんの広く浅いクソオタク俺だけだ。この中で一番頭悪いの俺だぞ」

 

 どうするこるものさん! どうする!

 

「……【趣味で】平安王朝小説を書いていまして……」

 逃げた! 逃げたぞ!
「宝具レベル5叡山のセイバーと平安恋愛ジェダイマスターと講談社陰陽師バツイチの尼を巡ってディビジョンバトルする逆ハーライト文芸小説がKADOKAWAで来週発売!」とか言えるかこの空気で!

 

「王朝文学、源氏物語みたいな?」
「そ、そういうことにしておいてください!」
「いやーぼくらも普段は秀吉時代の遺構を歩いてたりして、そっちは詳しくなくて」

 

 ていうか参加者、主催さんの知り合いばっかりやん!
 TRPGコンベンションで初めてなのに身内だけのキャンペーン卓に紛れ込んでしまって以来の気まずさ、空気の読めなさ!

 

 いや楽しかったですよ。

 

バーチャル平安京AR

 

「こういうアプリがあるので、見ながら歩いてみま……これ、近づきすぎると壁しか見えませんね」

 比較的まともでこのありさま。
 遠ざかると何だかわからず、近づきすぎると壁しか見えないバーチャル平安京

 

 仕方ないのでIngressでポータルキーを拾いながら歩く。

 史跡巡りのお供にIngress
 この辺、ポータル多すぎて逆にそれなりの史跡でも登録されてなかったりするが。

 二条駅から歩き出し。

 朱雀門から大内裏へ。
 省庁街を巡って、朝堂院、太極殿、紫宸殿。

 太極殿跡、工事中でしかも本当の太極殿の位置とズレているという。

 そしてここが王朝文学によく出てくる清涼殿と弘徽殿と滝口の陣の狭間。

 これだから京都は!
 いや奈良みたく空き地だけ取っておかれても困るんだけどな!

 ARだとこう。
 わかるんだかわからないんだか!

 

「平安は専門外なので清涼殿に近いお妃ほど優遇されてて桐壺がいかに不遇だったかくらいしか知らないんですが!」
「俺も平安時代の武士は身分が低くて本気で武力として動員すると大騒ぎになるのでことあるごとに滝口の陣で弓の弦鳴らしてたことしか知りませんし!」

 比較的、風情のある承香殿は今はゲストハウスだとか。

 いや、いちいち石碑と案内プレートあるんすよ。
 駐車場でも。

 梨壺。「梨壺で育った東宮(皇太子)は不遇」という設定だったが皆が真似したために「王朝文学の東宮は皆、梨壺で育っている」という本末転倒なことしか知らない。

比較的、風情のある一本御書所跡。

 その池の、人を見ても餌をねだりに来ない上品な鯉。

 お昼はピネライス。
 トンカツ乗せた炒飯にデミグラスソースがかかってる。
 カレーでもよかったかな。

 そして肝心なのがここ。
 中務省
 ――陰陽寮
 何回も何回も念入りに燃えて鎌倉時代でさえ何も残ってなかったのは知ってる!

 マンションか!
 その向こうのセブンイレブンか!

 はたまた向かいのガソリンスタンドか!
 とにかくここはここなんだ!
 そうだ! AR!

 ……ど、どれだよ。
 建物ごとにテロップ出せよシン・ゴジラみたいな。

 平安京都創生館アスニーで解散。
 ……またここ、客よりボランティアガイドの方が多くて爆死箱物の匂いがするな……
 何でかボランティアガイドの人の相手ってものすごい気を遣って疲れるんだが……
 ここのマップは勢いよく安倍晴明は一条晴明神社に住んでたことになってるんだな……

 

 アスニーに無料自力着付け平安装束コスプレコーナーがあり、「これは資料としては必要なのだが絶対自分では着たくない」と思ってたら他に着てくれる猛者が現れたのでじっと観察。
 ……これ、一人で自力で着れるのか?
 特に狩衣。
 いや、今日初めて平安装束を着る現代人がマニュアルを見ながら着ているから大変そうに見えるだけで20年以上平安京に住んでる夜這いの達人ならきっと5分でスッと着て立ち去ることができるのに違いない。
 束帯ならともかく狩衣とか下っ端の着るもの、いちいち手伝ってもらうわけにいかないし。
 神主さんとか多分自力で着てるはずだ。

 解散後、京都駅前地下のリプトンで一人、糖分補給。

 消費カロリー以上に補給しているが気にするな。
 お疲れ様でした。